言語化修行中

観た舞台の感想を書きます。ストプレとダンスが好き。

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年に観た舞台

今年は130作品、劇場観劇205公演。去年が74作品141公演だったので、多ステ率がやや下がったが総数はめちゃ増えている…。 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 自分の好みだけの2022年ベスト10 1月 あんよはじょうず。「地獄変をみせてやる-…

光と影が焼き付いた

ムシラセ「瞬きと閃光」感想。去年山崎丸光さんが出ていたので観に行った本公演がめちゃくちゃおもしろくて、今年もすごく楽しみにしていた。そしてその期待をさらにぶち超えて良かった、ということをずっと書いています。台本を買ったけどまだ読めていない…

支配被支配の三すくみ

壱劇屋「戰御史」感想。8月に観た「憫笑姫」でアクションモブやってた小林さんの殺陣がよくて、岡村さんとW主演と聞いて楽しみにしてた。全部ネタバレです。 セリフがない殺陣芝居なので、細かいストーリーは観客の解釈次第な部分があると思うけど、とりあえ…

時を経たアップデートの手触り

7年前の初演「クロスジンジャーハリケーン」で梅棒に狂ったオタクが書く、「シン・クロスジンジャーハリケーン」感想。考えすぎかもしれない。全部ネタバレです。 初演と大まかなストーリーは同じ。離島を舞台に、すいーつさん演じる都会からやってきた女性…

行間を読みきれない

「トリガーライン」初見の団体。寺内淳志さんを観に行った。ネタバレしています。 あるテーマパークの設備耐久性にまつわる内部告発をめぐって、BSの報道番組制作チームとテーマパーク運営企業の攻防が繰り広げられる物語。内部告発者である元社員のインタビ…

「即興」の意味

エン*ゲキ#06「砂の城」アンサンブルダンサーに見たい方がいたので観に行った。あんまり褒めてません。 ストーリーはかなりシンプル。両親を亡くした地主の息子・テオは地元領主の娘・エウリデュケと結婚する。同時期に国王が崩御、王子ゲルギオスが王位を…

失敗を忘れずに語り継ぐ

「アルキメデスの大戦」脚本演出が劇チョコタッグで、岡本さんが出演して、照明が松本大介さんは見るしかない!と思って行った。おけぴで譲ってもらったのがまさかの2列目で、こんな距離で鈴木拡樹さんを見ることは今後一生ないのでは…と思ったり。元々はマ…

人喰い鮫の孤独

WBB vol.20.5「ギャングアワー」何回か上演されてるようだけど観るのは初めて。推し(磯野大さん)が出るので観に行った。 あらすじと作品全体の感想。舞台はギャングのアジト。主人公の渋谷は弱い自分を変えたいとギャングになったが、所属するチームはリー…

「まなざす」と「まなざされる」の反転

ムケイチョウコク「反転するエンドロール」感想。千秋楽終わったのでめちゃくちゃネタバレしていますが、再演あるかもなので気になる方はご注意ください。本当におもしろかったんだけど、行く前にインターネットにどういう公演なのかの過去情報があまりなく…

気づかせてもらった感謝

「Breakthrough Journey」2022年度の感想。振付・出演のDAZZLEが好きなので観に行った。今回再演なんですが、初演時はまだ詳しく知らなかったので初見。 国内7地域、海外4地域のチームが物語の中でパフォーマンスを見せていくダンス公演。ストーリーとしては…

どこにも行けないぬかるみ

GORCH BROTHERS2.1 「MUDLARKS」先日衝撃を受けた「空鉄砲」のキャストということで観に行った。めちゃくちゃ良かったから売り切れてないのが解せない!大きい声を出すやりとりさえ大丈夫なら万人に観てほしい、つらいが…。以下ネタバレしています。 YouTube…

戯曲を生かすのも殺すのも演出

青年座「燐光のイルカたち」青年座は基本的に観に行くことにしているのと、横堀悦夫さんが観たくて行った。 北と南が壁で分断された国で、北が南を半ば支配している。南の壁の近くで主人公の真守が営む商店に、ある雨の日、北の青年・凛が迷い込む。真守、凛…

生き残った子孫のひとりとして

だいぶ今更になってしまったけれど、劇団チョコレートケーキ「ガマ」感想。 沖縄戦中、首里近くのとあるガマに集まった6人。ひめゆり学徒隊の軍国少女、生徒たちを鉄血勤皇隊に送り出し死なせたことを悔いている中学教師、上から命じられた無謀な作戦で小隊…

古い価値観の物語を今どう感じればいいのか

KAAT「夜の女たち」感想。よかったと思うところとそうでもなかったところがあった。ミュージカルだが、当たり前かもだけどいわゆるグランドミュージカルとはまるで違うものだと思う。 何作か長塚圭史さん演出作品を観て面白かったので行った。 戦後間もない…

目を開かれたロンギヌスの未来

エリア51「かつてのJ」の長い感想。好き勝手書いています。 20分の短編作品。アイドル事務所で下積みを重ねたがデビューできなかった主人公が劇団主宰に転身するも、劇団運営にも金銭的問題や劇団員との不和などが生じ、たったひとりで解散公演を行い、最…

考え続けることの大切さ

劇団チョコレートケーキ「無畏」の長い感想。めちゃめちゃおもしろかった!史実を描く中で人間の多面性や重層的な心の動きが描かれることによって、観客の感情もどんどん移り変わって操られる。歴史への批判的視点を持ちながらも突き放さず、向き合って確か…

わたしたちにできることはある

劇団チョコレートケーキ「帰還不能点」(再演)感想。初演も見たのでその感想も貼っとく。あらすじ書いてあります↓ https://fusetter.com/tw/9RHN8Acm 初演の帰還不能点(今里さんが出ているから行った)が初劇チョコなんだけど、今思うと舞台一般としても劇…

偏りが生む美しさ

初めて壱劇屋を観たオタクによる「憫笑姫」の長い感想。めちゃくちゃネタバレしています。 劇団の名前だけ確かエンタステージのスペースでおすすめされているのを聞いたことがあって、今回牧田哲也さんが「足癖の悪い殺陣」をやるというので観に行ってみるこ…

ガムテープのこちらとむこう

やしゃご「きゃんと、すたんどみー、なう。」タカハ劇団を観る予定があり、セット券がお得だったのでせっかくならと思って観た。結果タカハ劇団は全公演中止になってしまったのですが…公演が観られるだけで幸運なご時世になってきているなと思う。 長女が知…

2.5における作品と作風の親和性

舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」推し(磯野大さん)が出たので観に行った。過去シリーズは未見(絶対観た方がいいんだろうなと思いつつ全然時間がなかった)めちゃくちゃにネタバレしています。 今回がシリーズ7作目らしい。文豪異能バトル(?…

悲劇でも喜劇でもない険しさ

singing dog「Drunk」感想。井内さんのファンなのと、singing dogのアルコール依存症を扱った過去作「ブラックアウト」が好きだったので観に行った。 バー「Perfect Day」に夜な夜な集う常連たちの大半はアル中。開き直ってアルコール病棟を出たり入ったりし…

三越劇場は最高

「The Great Gatsby In Tokyo」村田充さんが好きな気がしているので観に行った。 三越劇場、多分初めて行ったんだけどすごい豪華な空間だった。帝劇をぎゅっとしたみたい。舞台も広いし見やすい。入場からスタッフさんに「ギャツビー邸へようこそ」と声をか…

台詞にしないことで伝わるメッセージ

serial number「Secret War-ひみつせん-」感想。 「hedge/insider」に原ちゃんが出たことをきっかけに観るようになった劇団。まだ数作品しか観ていないが、安定して面白いし台詞にキレがある、あと歌ったり登場人物がわかりやすく説明したり、丁寧に準備し…

登場人物を動かすか、登場人物が動くか

劇団印象「ジョージ・オーウェル〜沈黙の声〜」感想。 題材的に興味があったので観に行った。 ジョージ・オーウェル(本名エリック)が「動物農場」や「1984」といった名作を描くまでの物語。第二次世界大戦下のイギリス、BBCのインド向け放送の責任者を務め…

演劇の原始的な形

スリーピルバーグス「旅と渓谷」感想。永島敬三さんが好きなのと、事前に上がっていた福原さんと成河さんの対談が面白かったので観に行った。 渓谷を上流から下流へ旅する人々の物語。キャスト4人が全部で27役を演じる。各々のメイン役としては下流へ向かう…

忘れるという希望

露と枕「帰忘」あんよはじょうず。で見た奥泉さんが気になり、劇団公演を観に行った。ネタバレしています。 白っぽいくすんだ色味のナチュラル風なセット。中央に丸いベンチと、その上に金木犀の花をイメージしたオブジェが吊るされている。上手にテーブルと…

世界から出るのが寂しくなる舞台

「グリーン・マーダー・ケース」「ビショップ・マーダー・ケース」感想。ホチキスの齋藤さんと小玉さん、ヒプステで好きになった加藤さんが出るというので観に行った。現時点で今年観たストプレではいちばん好きだ。 「グリーン・マーダー・ケース」 セット…

原作知識ゼロで観たまほステがすごくよかった話

舞台「魔法使いの約束」第1〜3章をぶっ続けで観たんですが、めちゃくちゃおもしろかったので、何がよかったのかの感想。ネタバレしています。 1、2章はBlu-ray、3章は今公演中なので配信視聴。興味を持ったきっかけは3章にVoTで知った岩崎大輔さんがアンサン…

描かれたもの、描かれなかったもの

劇団ヒトハダ「僕は歌う、青空とコーラと君のために」以前観た「泣くロミオと怒るジュリエット」がすばらしかったので、鄭さんの作品をまた観たいと思って行った。本当に全然褒めてないし、観てつらかった話をしています。 戦後すぐ、米軍御用達のキャバレー…

大きな黄色い棺桶

パルコ・プロデュース「セールスマンの死」 去年配信で観たスリルミーの福士誠治さんがよかったので観に行った。 舞台に2本の電信柱が浮いてて、中央に黄色い大きな冷蔵庫。このセットはずっとあるまま、台所・子供部屋・寝室・庭などの部屋のセットが出たり…