言語化修行中

観た舞台の感想を書きます。ストプレとダンスが好き。

上裸で踊る公演とかはちょっと…と思う人にこそ「おしゃれ紳士」を観てほしい話

自分の好きなものについて書くのが楽しいオタクなので、今日は今年出会ってパラドックス定数と同じくらい好きになったパフォーマンスユニット「おしゃれ紳士」の話をします。

おしゃれ紳士を言葉で説明するのはすごく難しいなと思います。あえて言うなら公式で使われている「茶番劇」というワードがいちばん適切なのかもしれない。めちゃくちゃざっくり作風を紹介すると、上裸にハットとネクタイの男性たちが、J-popを使ってダンスしながらシュールなネタを次々に繰り出します。そして公演全体を貫いて駆け足で繰り広げられる壮大なストーリーがあり、やや力技ではありますが最後にカタルシスを感じる展開になっています。

団体の名前だけは数年前から知っていましたが、わたしが実際に初めて公演を観たのはごく最近で、今年の5月に上演された「The Story seen from the balcony〜オシャレ紳士と梅棒のベランダカラミルモノガタリ〜」が初見でした。下のYouTubeがそのダイジェスト映像です。元々1回だけチケットをとっていて、その1回で号泣、終演後リピーターチケットをめちゃくちゃ買い、平日昼間の千秋楽も何とか都合をつけて結局5回観ました。何ならもっと観たかった。 これサムネだけ見るとすごいやばそうですね。

www.youtube.com

なぜこの記事を書き始めたかというと、上裸で踊ると聞いて抵抗感がある人にこそおしゃれ紳士を観てほしいと思ったからです。

そもそもおしゃれ紳士の名前は数年前から知っていて観る機会は過去にもあったのに、今年まで観たことがなかったのには理由があって、前提としてわたしは下ネタが非常に苦手です。下ネタを面白いと感じる人がいること自体はわかるのですが、いわゆる下ネタが肯定的に受け入れられる場面にシスヘテロ男性中心主義的なものを感じることが多いのもあって、あまり良い感情はありません。かつ裸と下ネタは密接に結びついている場合が多い。なので上裸にネクタイでダンスパフォーマンスする、と以前聞いたときに漠然とマイナスの先入観を持ち(ここでちゃんと調べなかったのは自分が悪い)長期間食わず嫌いしてしまっていました。でも全然違った。

これはわたしの主観ですが、公演を観て、おしゃれ紳士の上裸は、いわば初期アバターだと感じました。プレーンな存在であるための裸。劇中でキャストはほとんど何の小道具も使わずにあらゆるものを演じるので、そこには極力先入観やノイズが生じない方が良い。何にでもなれるように、一旦なるべく全てを脱ぎ捨てておく。真っ白なキャンバスであり、白ごはんということです。シンプルイズベスト。ただ上裸なだけだとユニットとしての一体感に欠けるし、いささか荒々しく見えてしまうけど(これはあくまで感想で実際の理由はわかりませんが)そこでユニットのアイコンとしての中折れ帽とネクタイ。今はすごく良いバランス感覚だなと思っています。

わたし自身「ベランダカラミルモガタリ」と、10月に開催された「オシャレ紳士のハロウィン・ドリーム」2公演しかまだ観ていないので、まだド新規で傾向というほどの傾向は掴めていないかもしれません。前者は客演キャストが多く、梅棒とコラボ公演だったこともあってメッセージ性も強く演劇感があり、後者は人数が少なく狭い会場で、ヨーヨー世界チャンピオンの客演さんもいて、パフォーマンス感(茶番感とも言うかもしれない)が強まっていましたが、どちらにせよ共通しているのは、舞台の無限の可能性を体現しているということです。

自分が舞台を観るようになってまだ数年ですが、舞台にしかない魅力のひとつは「何でもできること」だと思っています。目に見える画のリアリティから離れられない映像と違い(もちろん映像には映像のよさがあるけど)舞台は元々全くそこにないものをそう見立てる創作なので、観客の想像力さえついてこれれば、どんなものでも舞台上に生み出せる。この「何だってできる」という可能性は、「ベランダカラミルモガタリ」のクライマックスで主人公の篠原が語った大好きなセリフそのもので、おしゃれ紳士自体がそれを体現しているような団体だなと感じます。永久に開かない自動改札も、2mくらいあるクソ長い横笛も、エイリアンのフェイスハガーも、身体は子供頭脳は大人の名探偵も、美少女アイドルも、アントニオ猪木も、時空を越えるタイムトラベルも、大天使と悪魔の世界をかけたバトルも、全部演者たちの身体だけで表現されている。例示に脈絡がなさすぎて何言ってるか全然意味不明かもしれませんが、そういう舞台なんです。本当に面白いです。なんでこんなの思いつくんだろうなと思う。

あとすごく単純な感想だけど、全力な人間は輝いている。おしゃれ紳士のメンバーは多分だいたい40歳前後で、しかもダンサーをメインの生業にしているわけではない人もいて、それでこの踊り続ける公演を1日2公演回してるの、やや狂気だなと思います。しかし全員すごく楽しそうに見える。わたしはおしゃれ紳士メンバー(かつパラドックス定数の劇団員)である井内勇希さんのオタクなのですが、パラドックス定数や客演で繊細かつ緻密な演技をしているときの井内さんも大好きだし、おしゃれ紳士でキラキラした笑顔やすごい顔芸で踊りまくり、芝居パートではめちゃめちゃ圧倒的主人公感を出してくる井内さんも同じくらい好きです。いろんな姿が観れて楽しい。

他メンバーは自分が観たことある中心メンバーだけの紹介になってしまうけど、主宰で企画してディレクションして脚本も書くし出演もするという、とにかく多才ですっとぼけた顔するときの演技が面白すぎるマンショさん(伊東祐輔さん)、総合演出で飄々とした佇まいが魅力的な西川康太郎さん(客演で普通に演技してる西川さん観て、「なんでもない演技」もいいな~と思った)、ダンサーとしても活躍されていて身体の使い方がすごく美しい池田遼さん(客演で観たときの女性役もうますぎました)それぞれとても素敵です。(木村さんはまだ見たことない。見たい)

さらにおしゃれ紳士は10月にお笑い芸人のチーモンチョーチュウ菊地さんという新メンバーを迎えました。これは全く本題とは関係ないオタクの感慨として、わたしは(最近はもうあんまり詳しくないのですが)15年くらい前に熱心なお笑いオタクで、毎週爆笑オンエアバトルのスレに常駐して実況したり、当時まだ有明にあったヨシモト∞スタジオの観覧に行ったりしていたので、おしゃれ紳士の客演で初めて菊地さんを観たとき勝手に感動してました。そしたらメンバーとして加入されるということで…ダンスうまいし(元々ブレイクダンスが得意)声良いし、ボケが面白いし、場も回せるし、紳士が好きすぎて自ら加入を打診したらしいし、最高の新メンバーじゃん…と思っています。「ハロウィン・ドリーム」にて、架空の犬の名前聞かれて秒で「ちくわぶ」って答える反射神経すごいと思った。紳士のこれからがますます楽しみです。

そんな菊地さんも出演のおしゃれ紳士公演「オシャレ紳士のサンタ・クロース・トゥ・ユー」が12月23日〜26日、よしもと有楽町シアターにて開催されます!

おしゃれ紳士×よしもと有楽町シアターpresents『オシャレ紳士のサンタ・クロース・トゥ・ユー』

今回はよしもとと共催なので、おしゃれ紳士メンバーから4名(マンショさん、井内さん、池田さん、菊地さん)に加え、客演でよしもとの芸人さん(2700・ツネさん、8.6秒バズーカー・はまやねんさん、しゅんしゅんクリニックPさん、放課後ハートビート・松下シュートさん、東京シャンデリア・ハラちゃんさん)が出演されるそうで、また違う雰囲気の公演になるのかな…と思って楽しみにしています。

繰り返しになりますが、興味あるけど上裸とかはちょっと…と思っている人がもしいたら、一旦その気持ちを傍に置いて観てみてほしい…なぜなら自分がもっと早く観ておけばよかったと後悔したので…。

以上です。読んでいただきありがとうございました!

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